著者インタビュー | 書籍『コーヒーが冷めないうちに』公式サイト
著者インタビュー 著者インタビュー
h2cup この本を書いたきっかけはなんですか?
『コーヒーが冷めないうちに』はもともと、2011年2月に上演した舞台作品です。僕が脚本と演出をしていました。その舞台公演を、サンマーク出版の編集者さんが偶然見に来られていました。その編集者さんから上演直後に「すごく感動しました!この舞台を小説にしませんか?」と声をかけてもらったのがきっかけです。
h2cup この本で伝えたかったことは何か?
ひとつめは、誰にでも訪れる「死」と「別れ」というテーマに対する僕なりの思い、考えを表現したいと思っていました。
僕の父親は、僕が小学生のときに38歳という若さで亡くなったのですが、母は、父が亡くなったあとも、ずっと笑って僕らを育ててくれました。
その頃は、「父が亡くなって悲しくないのか?」と不思議に思っていたのですが、大人になったあるときに、気づいたんです。
父親が死んだことで、僕らから笑顔が消えて不幸になったら、一番悲しむのは父だったのではないか?と。母は、父が悲しむことがわかっていたので、明るくふるまっていたんだと思います。そのことに気づいた時、母の強さを、そして人間の強さを知りました。
そんな母の思いを、作品として形にしたいと思っていました。

ふたつめは、「心ひとつで、人間はどんな辛い現実も乗り越えていける」という、登場人物のせりふです。これが、いちばんこの本で書きたかったことです。
人生ではいろんな事が起きます。でも、「苦しいときでも、人間は乗り越えていく強さを身につけられる」と伝えたいと思いながら書きました。
h2cup 自分にも戻りたい過去はありますか?
中学生の時、当時思いを寄せていた女の子に「川口くん、話があるから放課後ここに来て」と言われたのに行かなかったこと。
当時は、まわりの友達に冷やかされるのがイヤで行かなかったんですが、もしかしたら告白されていたかもと思うと「あの時、なぜ、行かなかったんだ?」という後悔があります。バカだなぁと(笑)。
という笑い話もありますが、ほかには、数年前に、いろいろ大変なことが起きて切羽詰まっていた友人から頼られたとき。あのときにも戻りたいですね。
そのときは、自分もアルバイトしながら芝居を続けている状況で、余裕もなくいっぱいいっぱいで、何もしてあげられなかった。それをすごく後悔していています。
h2cup オールスターキャストで映画化が決まって、どんな気持ちですか?
正直、驚いています。厳密にいうと、他人事のように感じている自分がいます。じつは川口俊和という作家が別にいて、本当はその別の川口俊和の『コーヒーが冷めないうちに』が映画化しているのではないか、みたいに感じるんです。
映画化していただくだけでも信じられないのに、まさか、街中で見かける俳優さんたちが出ることになるなんて、夢でも見ているかのような気持ちです。
これだけのキャスティングを成立させるために、どれだけ多くの関係者の方々のお力ぞえがあったのかを想像すると本当に感謝の気持ちでいっぱいになります。もう一人の川口俊和に代わって、心より感謝申し上げます。
読者の皆さまからの質問 読者の皆さまからの質問
h2cup 好きな本はなんですか?
漫画全般です。特に好きな漫画は『エースをねらえ!』です。宗方仁は心の師匠です。
小説だと戸部新十郎先生の『服部半蔵』です。これは、小説嫌いだった僕が初めて時間を忘れて没頭した小説です。とにかく文体が好きです。
h2cup どうして、ケイちゃんが未来に行ったとき、流と数は北海道にいたの?
この理由についてはシリーズ3作目で明かす予定ですので、ここでは勘弁ください。
h2cup 登場人物の中で一番好きな人は誰ですか?
『この嘘がばれないうちに』に出てくるミキですかね。書いている最中から、もう僕の手を離れて勝手にキャラクターが暴れまくっていました(笑)。
h2cup お気に入りの話はありますか?
お気に入りになるのかどうかわかりませんが、『この嘘がばれないうちに』第三話で倉田が言ったセリフは、実際に僕が26歳の時に、流産をしてしまった友人に言った言葉です。自分でも、よくとっさにそんな言葉が出てきたなぁと今でも不思議に思います(笑)
h2cup 『この嘘がばれないうちに』は舞台化する予定はありますか?
いつか、今執筆している3作目も含めて、三部作として上演してみたいなと思っています。
h2cup 大事にしている言葉は何ですか?
「自分らしく」
ダメな自分も、自分であると許してあげること。大事にしている言葉というか、大事にしている考え方です。